企業はYouTubeを活用すべき?メリット・デメリット、成功事例を解説

企業の集客にYouTubeを活用する動きが広がる一方で、私たちが企業のマーケティング担当者様と商談を重ねる中で、以下のような不安の声が多く寄せられています。
- YouTubeの費用対効果がチラシと比べて見合うか不安
- 自分の事業のどの情報を発信すればよいか分からない
- YouTubeが事業にどう結びつくのかイメージできない
- YouTube集客が効果的と聞くが、具体的に何が良いのか分からない
- 思ったような集客効果が出なかった場合が不安
この記事では、こうした疑問を解消すべく、YouTubeを始めるべき理由やメリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。企業がデジタル時代で優位に立つためのヒントとして、ぜひお役立てください。

松見達也(株式会社CUE 代表取締役)
1986年生まれ。福岡県出身。福岡大学大学院修了後、株式会社イトーキで6年間勤務。2018年にWebマーケティング事業で起業。ローカルメディアの立ち上げ、海外にてYouTubeチャンネルの立ち上げを経て、企業向けYouTubeマーケティング支援事業を開始。
【結論】YouTubeを始めるなら1日でも早くやるべき
結論から言えば、企業の集客を目的としたYouTubeチャンネルの開設は、早ければ早いほど効果的です。「集客を強化したい」、「web上での存在感を高めたい」と考えるなら、YouTubeを今すぐにでも始めましょう。
もちろん、どの業界やビジネスでもYouTubeが完璧に合うわけではありません。例えば、特定の部品や専門的なBtoB商品を扱う業種では、コストパフォーマンスの面でYouTubeが最適ではない場合もあります。
しかし、特にBtoCビジネスや消費者向けの製品やサービスを扱う企業にとっては、YouTubeとの相性が抜群です。運営方法を工夫することで、大きな集客効果やブランド認知向上の効果を期待できます。
YouTubeを早く始めることが有利になる理由は、この後紹介する9つのメリットがあるからです。
企業がYouTubeを活用するメリット
企業がYouTubeを活用すべき9つのメリットをまとめました。
これらは、実際に企業のYouTubeチャンネルを運営して得た洞察です。
- YouTube動画は資産(営業ツール)になる
- 感情を動かすメッセージが伝わる
- 会社の信頼度が上がる
- 営業の成約率が上がる
- 採用のコストが下がる
- YouTubeおすすめ機能の拡散力が桁違い
- プレゼン能力と論理的思考が鍛えられる
- YouTubeは社員教育になる
- 社員の家族に喜ばれる
一つずつ順に解説していきます。
YouTube動画は資産(営業ツール)になる

企業がYouTubeを活用すべき一つ目の理由は、YouTube動画が強力な資産(営業ツール)として効果を発揮するからです。
適切なタイミングやシーンで活用すれば、YouTube動画は最強のツールであり、長期的に価値のある資産となります。一度、集客につながるノウハウや自社商品のメリット・デメリットを動画にしておけば、繰り返し利用でき、手間をかけずに情報を伝えることが可能です。
さらに、YouTubeに動画をアップロードすることで、検索や関連動画を通じて、視聴者(潜在顧客)に自社の情報が届きやすくなります。この点で、チラシにはない利点があり、動画は長期的な資産になり得ます。
チラシは短期間での即効性が期待できますが、YouTubeは長い目で見たときに高い費用対効果を発揮するため、特に有益です。
ただし、YouTubeの活用には注意が必要です。適切に運用しないと、資産ではなくコストになってしまう可能性もあります。効果的なYouTubeの活用方法や戦略的な運用を検討することが重要で、無計画に動画を作成しても十分な成果は得られません。
YouTubeを「資産」にするためには、計画的かつ戦略的な運用が求められます。
感情を動かすメッセージが伝わる

動画を活用することで、リアルな臨場感が表現され、感情やメッセージがより直接的に視聴者へ伝わります。
さらに、動画の雰囲気に合わせたBGMや効果音を挿入することで、視聴者の感情に働きかけることができます。こうした演出によって、視聴体験がさらに豊かになり、メッセージが強く心に響くでしょう。
また、事前にいくつかのYouTube動画を視聴してもらうことで、初対面でも会話や商談がスムーズに進みます。これは営業コストの削減にもつながり、効率的です。
自社の発信内容に迷った場合は、企業理念や熱い想いを語るのも良いでしょう。共感してくれるお客様(視聴者)が必ずいるはずです。
会社の信頼度が上がる

企業として、適切で見栄えの良いYouTubeチャンネルを持つことは、お客様からの信頼を高めるためにも重要です。
見栄えの良いYouTubeチャンネルには、デザインだけでなく、適切な情報を過不足なく提供することも欠かせません。視聴者が求める情報が的確に伝わることで、企業への理解や信頼が深まります。
今では企業がホームページを持つのが当たり前ですが、近い将来、YouTubeチャンネルを持つことも当たり前の時代が来ると考えられます。
営業の成約率が上がる

商談の基本的な部分、サービスの説明や商品のメリット・デメリットなど、誰が説明しても変わらない内容をYouTube動画として用意しておくことで、本当に興味を持っているお客様からのお問い合わせが増え、結果的に成約率の向上につながります。
実際に、YouTubeを運用している弊社のお客様からも「無駄な営業活動が減った」「お客様との商談回数が減った」といった声を多くいただいています。
採用のコストが下がる

企業がYouTubeを活用することで採用コストが削減できるというのは意外かもしれませんが、弊社がサポートさせていただいたすべての企業様から、このようなご意見をいただいています。
就職活動をしている方にとって、あらかじめYouTubeで企業の情報を知ることができるのは大きなメリットです。また、企業のイメージや信頼度も高まり、興味を持たれやすくなります。
実際に弊社のお客様からは、「YouTubeで採用動画を公開したところ、マイナビの予約が数時間で満席になった」との声もいただきました。
それほど、YouTubeは企業の採用活動においても効果を発揮するツールです。
YouTubeおすすめ機能の拡散力が桁違い

企業がYouTubeを活用する理由の6つ目は、YouTubeのおすすめ機能による拡散力が圧倒的だからです。
通常の発信や営業活動では決して届かない層のお客様にも情報を届けることができるため、動画がおすすめに載れば、お問い合わせが増えることは確実です。
実際、何十万回と再生される動画の多くは、YouTubeのおすすめに掲載されたことがきっかけで再生数が伸びています。
YouTubeのおすすめに載る動画を作れるかどうかが成功の鍵であり、また、そこが難しいポイントでもあります。
プレゼン能力と論理的思考が鍛えられる

YouTubeで動画発信をする際、最初から企画や台本なしで始められる人はほとんどいません。
動画を撮影する前に、いかに視聴者に分かりやすく情報を伝えるかを考え、台本を作成する必要があります。この「どうしたら良い動画を作れるか」を考えるプロセスには、さまざまな副産物も生まれます。
具体的には、プレゼン能力や論理的思考能力の向上です。YouTubeを続けることで、営業トークも自然と上達するはずです。
YouTubeは社員教育になる

上述した、プレゼン能力や論理的思考能力の鍛錬は、そのまま社員教育にも活用できます。
YouTubeに出演する人物は、必ずしも社長や人事部の担当者である必要はありません。さまざまな社員が出演することで、企業全体のスキル向上にもつながります。
社員教育の面でも、YouTube活用には大きな可能性が秘められているのです。
社員の家族に喜ばれる

企業がYouTubeを活用すべき理由の最後は、社員の家族にも喜ばれるという意外な副産物があるからです。
弊社がYouTube運営をサポートしている企業様から、こんなエピソードが寄せられました。ある社員の奥様から「夫の仕事内容を知ることができて嬉しい!」というお言葉をいただいたそうです。
集客のために始めたYouTubeが、思いがけず社員のご家族にも喜んでもらえるとは、私たちも予想していなかった発見でした。
企業がYouTubeを活用するデメリット
YouTubeを企業のマーケティング戦略に取り入れることで得られるメリットは多いものの、実際の運用にはいくつかの課題やデメリットも存在します。
ここでは、YouTube運用のデメリットをご紹介します。
制作・運用のコストがかかる
まず、YouTubeチャンネルの開設・運用には一定のコストが必要です。動画制作にはカメラや照明などの機材に加え、撮影・編集にかかる人件費も発生します。
高品質なコンテンツを維持するためにはプロのディレクターや編集スタッフを雇用することも多く、特に質の高いコンテンツが求められる企業には大きな負担となるでしょう。また、企画や撮影にかかる工数も多いため、長期的な運用を考えたリソースの確保が求められます。
成果が出るまで時間がかかる
YouTubeは短期的にすぐ効果が出る施策とは言い難く、継続的な運用が必要です。チャンネル登録者や視聴者を獲得し、動画が検索結果やおすすめに表示されるまでには時間がかかります。
SEO対策やアルゴリズムの理解を深めながら、視聴者が興味を持つコンテンツを定期的に配信し続けることが重要です。企業が即効性を期待している場合、YouTubeは必ずしも適したツールではないことを理解する必要があります。
YouTubeの知見を持った人材の確保が必要になる
YouTube運用には専門的な知識やスキルが求められます。
魅力的な企画を立案し、動画を効果的に構成するためにはマーケティングや映像編集の知識が必要です。また、YouTubeのアルゴリズムやSEOを理解した上で、視聴者を引き付けるサムネイルやタイトルを作成するスキルも欠かせません。
そのため、YouTubeに精通した人材の確保が必要であり、場合によっては人材育成や外部委託が追加の負担となる可能性があります。
そもそもYouTubeに向かない企業がある
YouTubeはすべての企業や業種に適しているわけではありません。
先述もしましたが、例えば、特定の部品や専門性の高いBtoB製品を扱う企業では、YouTubeでの動画集客が必ずしも適切な手段とは限りません。大衆向けの製品やサービスを提供している場合や、視覚的に伝えやすいビジネスでない場合、他の集客ツールやチャネルがより効果的であるケースもあります。
まずは、自社の事業内容がYouTubeと相性が良いかを見極めることが大切です。
株式会社CUEが運用する企業YouTubeの成功事例
最後に、弊社が運用している企業チャンネルの成功事例を3つご紹介します。
良い点は参考にしつつ、自社のYouTube企業チャンネルの運用に取り入れてみてください。
【工務店・住宅会社】株式会社出田建築工房様

動画公開からわずか2か月で9件の問い合わせがあり、出田建築工房様の「高性能で自然素材の家づくり」へのこだわりが多くの視聴者に届きました。
さらに、このルームツアー動画は3か月で10万回再生を達成し、視聴者からは「やっと出会えた」といった喜びの声もいただいています。また、動画視聴をきっかけにホームページへのアクセスも増加し、1.2〜1.5倍のアクセスアップに貢献しました。
【工務店・住宅会社】エコワークス株式会社/ピオーネハウス様

動画で事前に住宅の特長をしっかりと伝えることで、商談回数が従来の5〜6回から平均3回へと減少。動画を通じて「高機能住宅」への理解が深まるため、時間の余裕が生まれつつも、顧客単価の向上にもつながっています。
また、動画を活用して顧客との最初の接点を作りやすくなり、視聴者が動画を見た後に「やっと理想の住宅に出会えた」として問い合わせが増加しました。これにより、実際の打ち合わせでは具体的な内容に集中でき、円滑なコミュニケーションが可能になっています。
【工務店・住宅会社】WELLNEST HOME九州様

YouTube動画で設計担当者の信頼感が高まり、契約前からお客様が住宅の性能や設計担当者の魅力を深く理解してくれるため、初回接触から成約までの期間が短縮され、効率的な商談が実現しています。最速の契約では、動画視聴後に1泊2日で成約が決定するという実績も得られました。
また、話題性のある「大寒波」のタイミングを活用した高性能住宅の断熱効果に関する動画では、サーモグラフィーを使って体感を「見える化」し、多くの視聴者から好評を得ました。この動画は再生回数2.6万回、コメント数21と高い反応が続いており、視聴者が動画の中で住宅性能を直感的に理解できることが反響につながっています。
企業YouTubeに関するよくある質問
企業YouTubeに関するよくある質問をまとめました。
チャンネル登録数は絶対に必要ですか?
企業のYouTube活用で集客や売上をアップするためには、実はチャンネル登録者数はあまり関係がありません。重要なのは、潜在顧客にどれだけ情報を届けられるか、また視聴者(お客様)をYouTube動画でどれだけファン化できるかです。
チャンネル登録者数は注目されがちですが、企業のYouTube集客においては追うべき主要な指標ではありません。
どのくらいの頻度で動画を投稿すればいいですか?
一般的には、週1回程度の投稿が理想とされています。YouTubeのアルゴリズムは定期的な投稿を評価する傾向があり、視聴者との接触頻度を高めるためにも、安定したスケジュールでの投稿が望ましいです。無理に頻度を増やすよりも、質を維持できる範囲で計画的に投稿することが成功のポイントです。
YouTubeチャンネルが成功するまでにどのくらいの期間が必要ですか?
成功までの期間は、業界や運用方法、動画のクオリティによって異なりますが、少なくとも半年から1年は継続的な取り組みが必要です。アルゴリズムがチャンネルを認知し、視聴者が安定して集まるようになるまでには、時間をかけてブランド認知を高めていく必要があります。
YouTube企業チャンネルを開設しても失敗してしまう理由は?
よくある失敗理由としては、「目的や戦略の不明確である」ことが多いです。「とりあえず始めてみる」という形でYouTubeをスタートさせるのは良いのですが、明確な目的や戦略がないままでは視聴者に刺さるコンテンツを提供することはできません。具体的なターゲット層や集客目標、メッセージを明確にして運用することが重要です。
まとめ:集客目的の企業YouTubeは今すぐにでも始めましょう
最後に、企業YouTube集客の悩みに対する答えと、この記事の内容をまとめます。
- YouTubeの費用対効果がチラシと比べて見合うか不安
- 即効性のあるチラシに比べ、長い目で見たときに高い費用対効果を出すのがYouTube
- 自分の事業のどの情報を発信すればよいか分からない
- お客様の感情を動かすようなメッセージ、理念や想いなど熱い思いでもOK
- YouTubeが事業にどう結びつくのかイメージできない
- 会社の信頼度が上がる/営業の成約率が上がる/採用のコストが下がる
- YouTube集客が効果的と聞くが、具体的に何が良いのか分からない
- YouTubeおすすめ機能の拡散力が桁違い/普段の営業じゃ届かない層のお客様に情報を届けることができる
- 思ったような集客効果が出なかった場合が不安
- プレゼン能力と論理的思考力が鍛えられる/社員教育になる/社員の家族に喜ばれる